中高年の膝の痛み

項目

・ 膝の痛みの症状
・ 治療

膝の痛みの症状

中高年になると膝の痛みを訴える人が多くなり、そのほとんどは関節軟骨が徐々に磨耗していく変形性膝関節症である。女性は50歳台半ばから、男性は60歳半ばから痛みを訴えるものが多く、現在の患者数は約1000万人と推定されている。膝の痛みのほかに、水が溜まる、正座ができないなどの症状も現れ、徐々に膝のO脚変形が進行していく。

治療

磨耗した関節軟骨を元のように回復させる薬は現在のところ残念ながらないが、外側が少し高くなった楔状足底挿板の装着や当科でも力を入れている運動療法の指導などが痛みの軽減に効果がある。

筋力訓練、ストレッチ体操、ウオーキング


膝のO脚が進行して痛みが続く人には、脛骨(すねの骨)を切ってO脚を矯正する骨切り術が行われる。当科では片側仮骨延長法による方法を行っている(図1) 。この方法では正確に変形を矯正することができ、また従来の手術法に比べ手術の侵襲が小さいために、手術後はすぐに膝の屈伸や歩行ができる(図2)。

図1  図2:手術後3日目

手術前、手術後


図1 人工膝関節置換術

さらに関節の変形が進行した人では、関節の表面を人工の関節で置き換える人工膝関節置換術を行なわれる(図1)。この手術は歩行能力の回復に優れ、術前立っているのに介助が必要な人でも手術後には杖なしの歩行が可能となる(図2)。一方で、この手術の欠点は膝の曲がりが制限されることであるが、最近では手術方法や人工関節の進歩により、手術後に正座ができる人もみられるようになっている(図3)。

手術前, 手術後